2012年08月19日

「さよなら絶望先生」三十巻を読んで戦慄する

 今日は何もできずにうだうだしてしまった一日。

 昨夜、枕元に持ってきた絶望先生の最終三十巻を読みました。もう早朝になろうかという時刻になってしまいましたが、最後まで読んでしまいました。
 何がすごいかというと、ヒロイン格だった風浦カフカ(P.N.)の正体。
 なんというか、伏線回収が最終話で収束していく感じは、例えば都市伝説でよくある「ドラえもんは、実は植物状態ののび太の夢」とか「クレヨンしんちゃんは、一人息子を亡くしたみさえがクレヨンで描いたお話」みたいなトンでも話をマジでやった感じです。
 最近、枕元にジーン・ウルフの短編集「デス博士の島その他の物語」を置いて時々読み返すんですが、読後感は絶望先生も勝るとも劣らないです(個人の感想です)。
 あちらこちらに散りばめられている「義務」とか、羅列ネタとかを楽しんでいた自分は、全て作者の掌の上だったのですね。
 雑誌連載時の最終巻に驚いた方々の記事を読んでみて、あらゆる場所にカフカに関する伏線があった事実を突き付けられ、改めて背筋に戦慄が走りました。
 また第一巻から読み返さなければ。
posted by 匿名希望の茅ヶ崎人 at 00:58| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月09日

「東京物語(上)」(滝沢 聖峰 著 大日本絵画)一言雑感

 滝沢聖峰氏の東京物語といえば、以前に短編集「新太平洋戦記」(双葉社ACTION COMICS)に載っていた短編版「東京物語」(WEEKLY漫画アクション 2003年8月12日号 双葉社)がありますが、そのモチーフを長編へ仕立て上げたもののようです。
 陸軍航空審査部という実在した組織を舞台に物語が進められるので、架空戦記のような日本軍の逆転勝利が描かれるわけではないと思いますが、当時開発中の最新鋭機を扱っていた組織なので空ものが好きな私にはとても楽しみな話です。
 この陸軍航空審査部という組織については、「航空ファン」誌に連載されていた渡辺洋二氏の「未知の剣 陸軍テストパイロットの戦場」(単行本の題名)に史実が詳しく書かれています。

 そして、短編から長編へ、約十年の時を経て変わった変化は、
 女性がものすごく可愛くなった!
 主人公の奥さんが、表情豊かにとても活発な人へと描かれるので、短編版より年若な感じになりました。女性が主人公の「ばら物語」(大日本絵画)の連載で、氏が女性の造形を変化・進化させた結果、読者としては新作に「どんな女性が登場するのか」という新たな楽しみが得られました。これは嬉しい、とにかく嬉しいです。
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兵士の狂気から狂気の戦場へ「女子攻兵」02巻(松本 次郎 著 新潮社BUNCH COMICS)感想

 非投稿小説の改稿を完了。過去の投稿作も改稿を試したい。

 「女子攻兵」二巻が発売されるということで、今日という日を待ち構え、さっそく買ってきました。
 一巻では、精神汚染という狂気に侵された巨大女子高生型兵器を破壊するという話が主に描かれたため、画面に一杯の狂気が溢れる世界が印象的でした。信じられない規模の破壊が、街を、女子攻兵を襲い、街のかけらと血肉がコマ中を飛び散るド派手なエログロナンセンス。
 替わって、二巻では女子攻兵がなぜか持たされている携帯デンワに謎のメールを寄越してくるツキコへと肉薄する作戦が始動し、女子攻兵の部隊が戦う前線へと赴きます。主人公を取り巻く人間模様が描かれ、画面は地味ながらもどこまでが冗談でどこからが狂気なのかイマイチわからない恐ろしさがあります。
 中盤からは、一巻では触れられなかった女子攻兵の正規戦闘が出てきます。
 待ってました! 戦争ものといえば集団戦でしょう。女子攻兵という二重人格的な心理をいやおうなく持たされる兵科にあっては、戦場での日常がこの先どのように展開していくのか楽しみです。
 また、世界の根幹に関わりそうな謎が少しずつ開示され、狂気の中へ更なる混沌が投げ入れられていくのも魅力です。主人公の内面世界、戦争の行方、軍上層部(預言者という名のコンピュータ)の思惑、などなど様々なレベルの物語が複雑に絡み合って進行するこの物語。単行本派の私は次の巻が出るまでまた数か月、気長に待つことにしましょう。
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2012年03月19日

麻生我等さんの作品掲載「初体験プラスR」購入

 在所では梅の花盛り。ミモザも突如として黄色い枝を重く下げ始めた。

 麻生我等さんが知りたいプロジェクト(仮)を進めるべく、今日発売の「初体験プラスR」(アンソロジー 少年画報社)を買ってきました。掲載ページは18ページの短編作品「ダブルドラゴン」(ヤングキング 2008年4月号掲載)と、4ページの超短編(イラスト+設定様の作品)「桃弓」(ヤングキング増刊 2007年7月29日号 キャラフルVol.2)でした。というか、今から読みます。
posted by 匿名希望の茅ヶ崎人 at 23:02| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月13日

巨大女子高生が戦うぐちゃぐちゃに死ぬ「女子攻兵」読了

 投稿小説は、どうしても手を付けられなかった続きを異なる展開にする決意をする。それと、創元SF短編賞向けのネタに着手。

 ネットに上がったネタにつられて「女子攻兵」(松本 次郎 著 新潮社 BUNCH COMIX)を読みました。表紙、および最初の数ページを見ればわかりますが、巨大な女子高生型兵器を操って戦うという話です。
 巨大な美少女、というネタだけならば、有名どころを挙げると2004年のヴェネチア・ビエンナーレ第9回国際建築展日本館でおたくを主軸に日本の都市空間を演出された展示を読み解くために発行された、出展フィギュア付きカタログのフィギュア「新横浜ありな」(巨大な小学生が秋葉原の中央線高架をまたぐの図)があり、イラストの方でも「普通の人間が見上げるとパンツが見えるの図」がネットにあったりと、思いつく人は思いつくものではあります。
 そして、美少女が銃撃戦や肉弾戦をするというネタも、挙げればキリがないほどありふれてます。
 ならば、その二つを組み合わせてしまえ、というものもあながちあり得ないわけでもなかろう、という気がしますが、ただそれだけならばいわゆる「出オチ」となってしまいます。最初に見たインパクトが全て。そこで終わってしまうと、連載マンガにはなれません。
 このマンガの素晴らしいところは、そこへ狂気というものをあらゆるレベルに忍び込ませて、ひたすらねっとりと、濃く深くねっとりと描いているところです。巨大女子高生、肉弾戦、という二つのキーワード自体、どこか禁忌的というか公言を憚られる種類のものですが、それを求める心情は人の中に潜んでいる類のもの。しかし、それを認めてしまうと、今度は自分の公の顔というものを意識しないと理性を再起動できなくなりそうな、根源的な不安を誘いそうな気分になります。
 その不安というのは、自分が狂ってしまうのではないかという懸念、予感であるのでしょうが、そうした「この本を手に取る読者が抱えていそうな不安」がそのまま作品世界に盛り込まれているところが、このマンガを成り立たせている最大の要因なのです。これは巧い。

 ごくごく短く喩えて書くと、このマンガは「女子高生がダンプに潰されたぞ」という悲鳴が上がった時、その現場を見に行くようなものです。
 アスファルトにぶちまけられたあれこれ、そして興味深げに眺めに来たギャラリー、その顔、恰好、有様。
 そして、その軽蔑すべき人種の中に、自分も入っている。

 作品内容は、非常に読者を選びそうな気がします。そこで、そこそこわかりやすい読者像を書いてみると、大槻ケンヂさんの作品世界が好きで、角川ホラー文庫から出ているマンガ「ステーシー」(長田ノオト 作画)を読み返す人。わかりにくく書くと、友成純一さんの初期作品が好きで好きでたまらない人。
 理屈とか設定、つじつまなどにこだわる向きにはあまりお勧めできません。シチュエーションや描写、なによりこういう絵が好みの方。類例がないという点で、他では味わえない恍惚を得られましょう。

関連記事:女子攻兵のフィギュアだと!?

 この先は、ちょっとネタバレな一言。




















 主人公の顔(目とその表情)を出さないという点がとても素晴らしい。
 これが、主人公=読者を感じられた理由でもありました。
 大佐の狂いっぷりも、冒頭のハインド(世界観にぴったり)の呼びかけも、街の風景もメールも規制の緩さも何もかもサイコーだぜ。ホントいかれてる。
posted by 匿名希望の茅ヶ崎人 at 00:42| Comment(0) | TrackBack(0) | マンガ雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする